「大規模修繕の発注方式で失敗したくない」「設計監理方式と責任施工方式、どちらが本当に安心なのか」といった悩みを持つ管理組合やマンションオーナーの方は非常に多いのではないでしょうか。
実際、マンション大規模修繕の施工費用はこの十数年で大幅に上昇しており、見積もりの金額差も従来以上に大きくなっています。また、今後の法改正により、発注方式の選択ミスが資産価値や住民間のトラブルに直結しやすくなることも懸念されています。
設計監理方式を選択すると、第三者による監理によって工事の透明性・品質の確保・コストの適正化を実現でき、住民からの信頼も高まります。ただし、コンサル費用の相場や見積もり内容の精査、談合リスクなど、知っておかなければ損をするポイントも存在します。
本ガイドを読むことで、実例や費用の内訳、最新の法改正ポイントまで「本当に知りたい情報」が明確にわかります。発注方式選びで後悔しないために、まずは基礎から徹底的に確認していきましょう。
大規模修繕における設計監理方式や発注方式の基本とポイント
発注方式の全体像と特徴
マンションの大規模修繕工事を円滑に進めるためには、発注方式の選択が非常に重要となります。主な発注方式には「設計監理方式」「責任施工方式」「プロポーザル方式」の三つがあります。それぞれの方式には特徴があり、マンションの規模や管理組合の体制、修繕の目的によって最適な選択肢が異なります。
以下の比較表で各発注方式のポイントを整理します。
| 方式名 | 主な特徴 | 適したケース |
| 設計監理方式 | 第三者の設計者が計画・監理を担当し、施工は別業者が行う | 品質や透明性を重視したい場合 |
| 責任施工方式 | 施工会社が設計から施工まで一括して担当 | コスト重視・手間を減らしたい場合 |
| プロポーザル方式 | 複数業者から提案を募り、比較検討して選定 | 独自性や多角的な提案が求められる場合 |
どの方式を選択するかによって、工事の透明性やコスト、品質に違いが生まれるため、管理組合は自分たちのニーズや状況に合わせて慎重に選定することが大切です。
三つの発注方式の概要
設計監理方式は、設計者と施工業者を分離することで第三者視点の監理が行える仕組みです。責任施工方式は、設計から施工までを一社が担当するため、スピードやコスト面でのメリットが期待できます。プロポーザル方式は複数業者から提案を受けて選定するため、独創性や多角的な提案を得やすい特徴があります。
建築基準法や管理適正化法との関係
大規模修繕工事は建築基準法やマンション管理適正化法といった法令に基づき実施する必要があります。建築基準法では安全性や耐久性の確保が求められ、適正な修繕計画が不可欠です。また、管理適正化法では管理組合の合意形成や発注業務の透明性が重視されており、発注方式の選択もこれらの法令の趣旨を踏まえた運用が求められます。
設計監理方式とは|定義・流れと法令との関係
設計監理方式は、マンションの大規模修繕において設計事務所や専門コンサルタントが計画や監理を担い、施工は別の建設会社が行う方式です。第三者の専門家による工事の品質・コスト管理により、発注者(管理組合)の利益を守ることができます。
進行の流れは次のとおりです。
- 調査診断および修繕計画の策定
- 設計図書や仕様書の作成
- 入札や見積もりによる施工会社の選定
- 工事監理による品質・進捗管理
建築基準法で定められた構造や耐震性などを満たすためには、専門家による設計と監理が欠かせません。さらに、設計監理方式では談合や癒着のリスクを抑制し、透明性や公正性を高める効果も期待できます。
設計監理方式の進め方と監理者の役割
設計監理方式では第三者である設計者が、工事の進捗や品質を随時チェックします。主な監理の役割は以下のとおりです。
- 施工会社の作業内容が図面や契約どおりかを確認
- 工事中のトラブルや手抜き工事の予防
- 工事完了後の品質確認や引渡しサポート
この方式を選ぶことで、管理組合は工事の透明性や品質向上、コストの適正化を図りやすくなります。
責任施工方式とは|定義・流れと設計監理方式との違い
責任施工方式は、設計から施工までを一社が一貫して担当する発注方式です。短納期やコスト削減の面でメリットがある一方、工事監理が社内で完結するため、第三者視点での品質管理が不足しやすい傾向があります。
設計監理方式との主な違いは以下のとおりです。
- 設計監理方式:設計と施工を分離し、第三者が監理
- 責任施工方式:設計と施工を一社が担当、監理は社内で実施
- 費用面:責任施工方式の方が初期コストは低いが、品質管理などに差が出やすい
責任施工方式の特徴と選択される場面
責任施工方式が選ばれるのは、予算制約が厳しい場合や工期短縮が重要な場合が多いです。設計監理方式に比べて手続きが少なく、管理組合の負担も軽減される点が魅力といえるでしょう。ただし、工事の透明性や品質確保の観点では業者選定に慎重さが求められます。
特に小規模なマンションや、施工実績が豊富な会社に依頼する場合には、コストパフォーマンスを重視した責任施工方式が向いています。選定にあたっては信頼性や実績の把握が重要です。
設計監理方式の定義・流れ・役割|透明性と品質確保の仕組み
設計監理方式は、大規模修繕工事で第三者の専門家が設計と監理を担当し、施工業者とは独立した立場で品質と透明性を確保する発注方式です。マンション管理組合やオーナーは、建築基準法や長期修繕計画を踏まえ、設計事務所などのコンサルタントに工事全体の総合管理を依頼します。設計監理方式は、責任施工方式と比べて複数業者からの相見積もりや工事監理体制の確立が可能となり、不正や談合リスクを抑えつつ、住民の資産価値を守れるのが大きな特徴です。
設計監理方式の具体的な進行フロー
設計監理方式は、下記の4段階で進行していきます。
第1段階:建物調査・診断と長期修繕計画の策定
まず、設計事務所やコンサルタントが現地調査を実施し、建物の劣化状況や修繕箇所を詳細に診断します。その調査結果を基に、将来を見据えた長期修繕計画を策定します。これにより、適切な修繕時期や優先順位が明確になり、管理組合の予算計画も立てやすくなります。調査・診断の精度が、その後の設計や工事品質に直結する重要なステップとなります。
第2段階:設計・仕様書作成と見積精査
次に、専門家が診断結果をもとに設計図や仕様書を作成し、工事に必要な内容を明確化します。その後、複数の施工業者へ見積もりを依頼し、内容や金額を精査します。見積書の比較表を作成し、価格・工法・工期などの項目をリスト形式でチェックすることで、適正な費用と品質の確保につながります。
- 設計・仕様書のポイント
- 必要な工事項目の明確化
- 品質基準や材料の指定
- コストの透明化
第3段階:施工業者選定とプレゼンテーション評価
見積もりを精査した後は、管理組合が複数業者によるプレゼンテーションを受け、比較検討します。ここでは、施工計画や安全対策、過去の実績、担当者の説明力などを評価表で項目ごとにチェックし、最適な業者を選定します。公平な審査プロセスにより、談合や癒着のリスクも減少します。
第4段階:工事監理と品質確保
工事が始まった後は、設計監理者が現場に立ち会い、設計図どおりに施工されているか厳しくチェックします。定期的な進捗確認や写真記録、不適合箇所の是正指示など、第三者による監理業務が徹底されることで、品質不良や手抜き工事の発生を防ぐことができます。竣工後も完了検査を実施し、管理組合が納得できる仕上がりを保証します。
設計監理方式のメリット:透明性と品質の確保
第三者監理による公平性と透明性
設計監理方式は、設計と監理を担う専門家が施工業者と独立した立場で関わるため、工事内容や費用の妥当性を客観的に評価できます。不透明なバックマージンや談合などの不正リスクも防止され、公平性と透明性が保たれます。これにより、管理組合や住民からの信頼も得やすくなります。
工事品質の向上とトラブル防止
設計監理者が現場で細かく監理業務を行うことで、工事品質が向上します。施工ミスや材料のグレードダウンといったトラブルを未然に防ぐことができ、問題が発生しても迅速な是正指示が可能です。品質保証体制が整っているため、マンションの資産価値維持や長期的な安心感にもつながります。
管理組合の信頼構築と住民説明
設計監理方式は、専門家による第三者性が担保されるため、管理組合の判断や説明責任も強化されます。住民説明会や総会においても設計監理者が根拠や進捗を明確に説明できるため、住民の納得感や信頼性が高まります。これにより、管理組合の運営がスムーズになり、住民全体の満足度向上にも寄与します。
設計監理方式のデメリット・リスク|談合・癒着・費用負担の現実
談合リスクと見積操作の可能性
設計監理方式では、設計コンサルタントや監理事務所が第三者的立場で関与する一方、管理組合と施工業者との間に密接な関係が生まれやすくなります。そのため、談合や癒着が発生するリスクがある点も否定できません。特に、大規模修繕工事の発注時に複数の業者が事前に価格調整を行い、見積もりが不当に高額化するケースも見受けられます。
談合が発生する背景
談合が起こる背景には、設計事務所と施工会社の人的ネットワークが影響しています。設計監理方式では発注者が設計事務所に依頼し、その事務所が施工会社の選定や入札の助言を行うため、下記のような構図が生じます。
| 関係者 | 主な役割 | リスク要因 |
| 管理組合 | 発注・意思決定 | 専門知識不足による判断ミス |
| 設計コンサルタント | 設計・監理・業者選定支援 | 業者との癒着・情報共有 |
| 施工業者 | 実際の工事担当 | 価格調整・談合の可能性 |
談合を見抜くためのチェックポイント
談合や癒着を防ぐには、見積もりや業者選定時のチェックが不可欠です。
- 見積金額に極端な一致や端数の揃いがないかを確認
- 業者が常に同じ設計事務所を推奨していないか
- 複数業者から情報を収集し、透明性を確保
- 施工業者選定時は管理会社や専門家の第三者的な意見も取り入れる
設計コンサルタント費用の高額化と相場のばらつき
設計監理方式を選択する場合、設計コンサルタント費用が高額になりやすい傾向があります。大規模修繕では、建物の規模や工事の内容によって費用相場に大きな差が生じるのが特徴です。
見積額に差が出る理由
設計監理費用が大きく開く主な要因は以下の通りです。
- 建物規模や工事範囲の違い
- 業者ごとの積算基準やサービス内容の違い
- 管理会社や設計事務所による手数料やバックマージン
| 建物規模 | 設計監理費用目安 |
| 小規模(30戸) | 340万円~450万円 |
| 中規模(50戸) | 450万円~600万円 |
| 大規模(100戸) | 600万円~741万円 |
設計コンサルタント費用が適正かどうかの判断基準
費用が妥当かどうか判断するためには、複数社から見積もりを取得し、サービス内容や契約条件を比較することが不可欠です。
- 設計・監理内容についての詳細な説明があるか
- 費用内訳が明確か
- 他の同規模工事の事例や相場と比較し、割高でないか
- サポート内容やアフターサービスも評価対象に含める
管理組合の業務負担と時間的コスト
設計監理方式を採用する場合、管理組合側が多くの意思決定や調整業務を担う必要があり、業務負担が増大しやすくなります。
複数社からの見積もり取得と比較検討の手間
複数の設計事務所や施工会社から見積もりを集め、その内容を比較検討する作業は、専門知識を持たない管理組合にとって大きな負担となります。
- 見積依頼から回収、内容精査、質問対応などの業務が発生
- サービス内容や保証条件の違いを理解する必要がある
- 選定会議や説明会の準備・実施も組合側の負担となる
工事期間中の現場確認や住民対応
工事が始まると、進捗確認や品質管理のための定期的な現場確認が必要になります。また、住民からの問い合わせや苦情対応も発生します。
- 定例会議や現場立会いに組合役員が参加
- 工事中の騒音・安全・ごみ問題など住民からの相談対応
- 報告書や議事録の作成・保管など事務的負担も増加
これらのリスクやデメリットを理解し、適切な対策を講じることで、より満足度の高い大規模修繕を目指すことが可能です。
責任施工方式との比較|メリット・デメリット・選択基準
責任施工方式の定義と進行フロー
責任施工方式は、マンションの大規模修繕工事において、施工会社が設計・施工・監理まで一貫して請け負う発注方法です。管理組合や管理会社が施工会社に直接依頼し、工事の全工程を同じ会社が担当します。以下の流れで進行します。
| ステップ | 内容 |
| 1 | 施工会社による現地調査・診断 |
| 2 | 施工会社が工事内容・仕様を提案 |
| 3 | 見積提出・契約締結 |
| 4 | 工事実施・自社監理 |
| 5 | 完了検査・引き渡し |
施工会社の一貫責任と工事の連続性
この方式では、設計から施工、工事監理までを一つの施工会社が担当するため、情報のやりとりがスムーズになりやすいです。進行中に設計内容の変更などが発生しても、迅速に対応できるため、工事の連続性や一体感を保ちやすいという特徴があります。
責任施工方式のメリット:コスト削減と工期短縮
責任施工方式の大きなメリットは、コストと工期両面で効率化を図れる点です。
- 設計監理費が不要となるため、初期費用を抑えやすい
- 工事内容の調整が柔軟で、追加工事などの判断も素早く行える
- 施工会社の豊富な経験やノウハウがダイレクトに反映されやすい
このような特長から、特に小規模なマンションや築年数の浅い建物では費用面でのメリットが際立つ傾向があります。
責任施工方式のデメリット:透明性の欠如と価格交渉の難しさ
責任施工方式は、コストや工期面でメリットがある一方、発注者側にとってはいくつかのリスクも存在します。
見積の妥当性を判断する難しさ
施工会社が見積作成から監理まで担当するため、提示された費用が本当に適正かどうか判断しにくい場合があります。第三者によるチェックが入らないため、工事項目や金額に過不足があっても気づきにくいという課題が生じます。
手抜き工事や品質低下のリスク
監理も施工会社自身が行うため、コスト削減を優先しすぎると手抜き工事や品質の低下につながる恐れがあります。特に複数業者による比較検討が難しい状況下では、見えにくい部分でのコストカットが発生するリスクが高まります。
設計監理方式と責任施工方式の選択基準
マンションの規模や築年数、改修の目的に応じて、最適な発注方式は異なります。
| 方式 | 適したケース | 主なメリット |
| 責任施工方式 | 小規模・築浅マンション | コスト削減、工期短縮 |
| 設計監理方式 | 大規模・高経年・複雑な修繕案件 | 品質・透明性・第三者チェック強化 |
小規模マンション・築浅物件での責任施工方式の活用
小規模や築浅マンションでは、改修内容が比較的シンプルな場合が多く、責任施工方式のスピード感やコストパフォーマンスが活かしやすいです。工事内容が限定的な場合には、複雑な監理体制を設けずに効率的な進行が可能となります。
大規模・高経年マンションでの設計監理方式の必要性
一方、規模が大きいマンションや築年数を重ねた建物では、設計監理方式の採用が推奨されます。設計者や第三者コンサルタントが工事内容を厳格にチェックし、透明性を確保することで、長期的な資産価値の維持にもつながります。複雑な修繕が必要な場合や、工事品質を最優先に考える場合は、設計監理方式の選択が重要です。
施工業者選定と透明性確保の実践的ポイント
施工業者選定の評価基準と実施方法
施工業者を選定する際は、技術力・実績・資格を中心に、多角的な評価が必要です。選定時には複数の業者から見積もりを取り、内容や工事範囲、コストの妥当性を比較します。施工会社の過去の大規模修繕工事実績や、専門資格(建築士・施工管理技士など)の保有状況も確認しましょう。加えて、工事に関する保険加入の有無や、過去のトラブル対応実績も重要な評価ポイントです。これらの情報をもとに、書類審査と現地調査、ヒアリングを組み合わせて選定プロセスを進めることで、信頼性の高い業者を選ぶことができます。
技術力・実績・資格の確認項目
業者選定で失敗しないためには、下記のような確認リストを活用しましょう。
| 確認項目 | チェック内容 |
| 技術力 | 過去の大規模修繕工事実績、対応可能な工法 |
| 資格 | 建築士・施工管理技士などの保有状況 |
| 実績 | 管理組合からの評価、過去の施工事例 |
| 保険 | 工事保険・賠償責任保険の加入有無 |
| トラブル対応 | クレーム・不具合時の対応履歴 |
これらの項目を比較・確認することで、業者の技術力や信頼性に関する違いが明確になります。
プレゼンテーション評価と管理組合ヒアリング
選定プロセスにおいては、各業者によるプレゼンテーションの実施が有効です。工事計画やコスト削減案、施工体制などについて説明を受け、管理組合として質疑応答を行います。プレゼン内容の充実度だけでなく、担当者の対応力や提案の具体性・実現性も評価ポイントとなります。管理組合が直接ヒアリングを実施することで、現場の不安や疑問を早期に解消しやすくなります。また、各業者のプレゼンテーション評価点を記録・比較することで、透明性と納得感を高めた選定が可能となります。
透明性を高めるための選定プロセス設計
選定基準の事前共有と評価の明確化
選定作業の公正性を担保するためには、選定基準を事前に共有し、評価プロセスを明確化することが大切です。たとえば、「技術力30%、実績20%、価格25%、提案内容25%」などと重み付けを具体的に設定します。また、評価シートを作成して各業者のスコアを記録・共有することで、選定理由を客観的に説明できるようになります。これにより不透明な決定や不正防止に役立ち、管理組合内の信頼性向上にもつながります。
選定委員会の設置と記録保管の重要性
公正な選定を実現するには選定委員会の設置が欠かせません。委員会は理事や専門家、コンサルタントなど複数名で構成し、審査記録や議事録を確実に保存します。議事録には業者ごとの評価点や選定理由、ヒアリング内容を詳細に記載し、後から経緯を確認できるようにしておくことが重要です。これにより、将来的なトラブル発生時にも根拠を示すことができ、透明性の高い業者選定につながります。
下請業者管理と品質確保のための工夫
施工会社の下請け体制を明確にする意義
大規模修繕工事では、元請会社だけでなく下請業者の管理も非常に重要です。どの業者がどの工事を担当するのか、下請体制を明確にして管理組合に開示してもらうようにしましょう。下請け業者の技術力や実績も確認することで、施工品質にばらつきが出るのを抑えることができます。定期的な現場報告や下請け業者の変更時に通知を受ける仕組みを導入することで、工事の透明性がさらに高まります。
今後の法改正と下請業者管理体制
今後予定されている下請法の改正では、元請業者による下請業者への指導・監督義務が強化される見込みです。これにより、元請会社は下請先の選定や契約内容、支払い条件などについても管理組合にきちんと説明する責任が高まります。管理組合としても、改正内容をしっかり把握し、定期的な進捗報告や下請け業者への直接ヒアリング機会を設けることで、より安心して工事を進めることができます。今後は下請体制の透明性を重視し、工事全体の品質向上とトラブル防止を目指すことが重要です。
各方式の特徴・比較と管理組合による選択
プロポーザル方式の特徴と活用方法
プロポーザル方式は、複数の設計事務所や建設会社から具体的な修繕提案を募集し、管理組合が内容・費用・技術力・実績を総合的に比較して最適な業者を選定する方法です。とくに大規模な建物や、築年数が古く劣化状況が複雑な場合に活用されることが多く、独自性ある提案や新しい技術・工法を取り入れたいときに適しています。管理組合が主導権を持ち、質の高い修繕を目指す場合に選ばれる傾向があります。
プロポーザル方式の流れとポイント
プロポーザル方式は、一般的な相見積もり方式とは異なり、業者ごとの独自提案を基に選定する点が特徴です。進行フローは次のとおりです。
- 管理組合が事前に修繕要件を整理
- 複数業者にプロポーザル(提案書)を依頼
- 提案内容・費用・技術力を評価し、プレゼンテーションを実施
- 総合評価で最適な業者を選定
- 契約・施工監理
この方式は設計監理方式と組み合わせることもでき、第三者の専門家が評価に加わることで公正性と透明性が一層高まります。
プロポーザル方式のメリット:独創的な提案と総合評価
プロポーザル方式の最大の魅力は、各社が独自の工法や最新技術、省コスト案などを盛り込んだ独創的な提案を受けられる点です。管理組合は費用だけでなく、品質・メンテナンス性・将来コストといった多角的な観点で総合的に判断できます。主なメリットは次の通りです。
- 独自性や新技術の導入ができる
- 業者ごとの強みや実績を比較しやすい
- 費用対効果や長期的なコスト削減を検討可能
この方式により、資産価値向上や将来の維持管理まで見据えた選択がしやすくなります。
プロポーザル方式のデメリット:負担と評価の難しさ
プロポーザル方式には管理組合の負担が大きいというデメリットもあります。提案内容の比較や評価には一定の専門知識が求められ、選定基準の明確化や公平性の確保が課題となります。
- 提案内容の精査や評価が難しい
- 複数業者との調整やプレゼン対応に時間がかかる
- 専門家(コンサルタントや設計事務所)のサポートが必要
管理組合が主体的に関与する分、第三者の専門家を活用し、評価体制を構築することが重要です。
アドバイザー方式と管理会社方式の特徴
アドバイザー方式の役割と利点
アドバイザー方式は、設計監理の専門家や建築士など第三者のアドバイザーが管理組合の立場で計画や業者選定、工事監理をサポートする方式です。中小規模の建物や修繕経験が少ない組合に向いており、専門性と中立性を確保しながら、過剰なコストやトラブルを回避できます。
- 第三者の視点で助言・サポート
- 発注・見積もり・工事監理まで一貫して支援
- 透明性と信頼性の向上
管理組合内に専門知識がない場合でも安心して進められる点が評価されています。
管理会社方式と第三者性の課題
管理会社方式は、日常管理を委託している管理会社がそのまま大規模修繕の計画や発注、監理を担う方式です。管理会社のノウハウを活用できる一方で、第三者性や透明性の確保には注意が必要です。
- 業者選定の透明性が十分に確保しづらい
- 利益相反やバックマージンの懸念がある
- 費用や工事内容の妥当性判断が難しい
管理会社の提案をそのまま受け入れるのではなく、必要に応じて第三者専門家の意見も活用し、透明性を高めることが推奨されます。
各方式の選択ポイントと管理組合の状況判断
大規模・高経年建物に適した設計監理方式
大規模または築年数の古い建物では、劣化状況が複雑で技術的な判断が求められるため、設計監理方式の採用が有効です。第三者の専門家による詳細な調査・設計・監理により、品質の確保と長期的なコスト削減が実現しやすくなります。
- 多様な劣化症状や特殊工法に対応可能
- 組合の意思決定を専門家がサポート
- 全体最適化による資産価値維持
中小規模・築浅の建物での責任施工方式やアドバイザー方式
中小規模や築浅の建物の場合、責任施工方式やアドバイザー方式が現実的です。コストを抑えつつ、必要に応じてアドバイザーの助言を受けることで、効率的かつ確実な修繕が目指せます。
- シンプルな工事や予算重視に適合
- 専門家支援で品質担保とコスト最適化
- 管理組合の負担を軽減
技術的課題が多い場合のプロポーザル方式
特殊な劣化や構造上の課題、将来の省エネ対策など技術的要素が多い場合は、プロポーザル方式が適しています。多角的な提案から最善の解決策を選択できるため、柔軟な対応力と高い満足度が期待できます。
- 独自提案や新技術の選択肢が広がる
- 複数の専門家視点でリスク低減
- 長期的な資産価値向上を図れる
次の表は、各方式の特徴と主な選択基準をまとめたものです。
| 方式名 | 特徴 | 適した建物規模・状況 | 主なメリット | 主なデメリット |
| プロポーザル方式 | 業者の提案を総合評価 | 大規模・高経年・技術課題あり | 新技術・品質重視 | 評価の負担が大きい |
| アドバイザー方式 | 第三者専門家が助言・監理 | 中小規模・専門知識不足 | 中立性・透明性 | アドバイザー選定の必要 |
| 管理会社方式 | 管理会社が一括対応 | 日常管理に信頼・コスト重視 | 手続きが簡便 | 第三者性・透明性が課題 |
| 責任施工方式 | 工事会社が設計・施工一括 | 中小規模・築浅 | コスト抑制、短期間 | 品質・内容の担保が難しい |
建物の状況や管理組合の体制、長期的な資産価値を見据えて、最適な方式を選択することが大切です。
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